写真1 インテルの及川芳雄氏(インテル技術本部本部長)
写真1 インテルの及川芳雄氏(インテル技術本部本部長)
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写真2 新日鉄ソリューションズの大城卓氏(ITインフラソリューション事業本部 ITエンジニアリング事業部長 業務役員)
写真2 新日鉄ソリューションズの大城卓氏(ITインフラソリューション事業本部 ITエンジニアリング事業部長 業務役員)
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 2009年4月16日,インテルと新日鉄ソリューションズは共同で,「新たなコンピューティング・モデルを支える基盤と実践活用について」というテーマで,報道関係者向けにラウンドテーブルを開いた。4月6日にインテルが発表したインテルXeonプロセッサ5500番台(開発コード名:Nehalem-EP)のサーバー(ホワイトボックス・サーバー)を用いて,新日鉄ソリューションズがデータベースやミドルウエアによるベンチマークテストを行った結果を報告した。実際の利用環境に近いテストを行うことで,ユーザー企業などエンドユーザーへ同プロセッサの性能をアピールするのが狙い。

 冒頭で,インテルの及川芳雄氏(インテル技術本部本部長,写真1)は2015年までに150億台のデバイスがネットワークつながるという同社の見通しを示し,今後はこれまでと異なる「動的かつ効率的で拡張性に優れたインフラストラクチャー」が求められているという考えを改めて示した。Xeonプロセッサ5500番台は,メモリー・コントローラをCPUに内蔵するなど新しいアーキテクチャを採用するとともに,新しいチップセットによってPentium Pro以来の技術的革新が行われていることを強調した。

 続いて,新日鉄ソリューションズの大城卓氏(ITインフラソリューション事業本部 ITエンジニアリング事業部長 業務役員,写真2)が同社のクラウド・コンピューティング戦略の概要を述べたあと,Xeonプロセッサ5500番台のベンチマークを実施した結果について報告した。データベース管理システム,ミドルウエア,サーバー仮想化ソフトの三つの分野で行っている。

 データベース管理システムでは,Xeon 5500番台プロセッサ搭載サーバーと5300番台搭載サーバーについてOracle Databaseを利用したトランザクション処理を行った。その結果,最大性能が2.3倍に向上し,複数のデータベース・サーバーの統合が可能になるとした。

 ミドルウエア層では,Oracle Coherenceというメモリーを大量に利用したキャッシュ・ソフトウエアでWeb-DBシステムの高速化効果を測定した。Webアプリケーション・サーバーとCoherenceサーバーを組み合わせた構成について,Xeonプロセッサ5500番台搭載サーバーとXeonプロセッサ5100番台サーバーで証券系デイトレーダーアプリケーションの性能を比較。Xeonプロセッサ5500番台搭載サーバーでは,CPU利用率50%時のスループットが12倍に増加し,ミドルウエア層においても大きなサーバー統合効果が得られるとしている。

 サーバー仮想化ソフトについては,Xenを用いてXeonプロセッサ5500番台搭載サーバーとXeonプロセッサ5100番台サーバーの性能を比較した。Xeonプロセッサ5500番台は仮想化をハードウエアで支援する命令セットを搭載している。LMbenchというベンチーマーク・プログラムを実行して,仮想メモリー操作を対象に応答時間を測定した。その結果,Xeonプロセッサ5500番台サーバーでは,Xen 3.3の仮想化環境でオーバーヘッドが20分の1に削減でき,仮想化を行ってもXeon 5100番台の非仮想化環境より処理時間が短くなった。

 Xeonプロセッサ5500番台搭載サーバーによる仮想化システムでもXenバージョン3.1でテストした場合は仮想化によるオーバーヘッド削減効果がこれほど大きくはなかった。プロセッサの仮想化支援技術をサポートするかどうかがオーバーヘッドに大きく影響することを示した形だ。

 今回のベンチマーク結果を踏まえ,大城氏は「Xeonプロセッサ5500番台搭載サーバーを,当社のクラウドサービス基盤にできるだけ早く導入したい」と述べた。